「こんなのと戦うなんて聞いてないー!!」
バノック練兵所で、道士の儀式を助けに行ってくれと言われ、私は、森の端にあるという、古い監獄に向かった。
そこはインプと呼ばれる、小鬼がそこかしこに居るような所だった。
なんでこんなところで儀式を…って思ったけど、たぶん、いろいろあるのかしら。
入り口前にも、何人かの衛士さんがいたけど、どうやら、インプが外に出てくるのを抑えなきゃいけないらしい。
だから、手が足りないって言ってたのね。
通路のそこかしこにへたりこんでいる衛士さんや道士さんを介抱しながら、奥へ向かうと、一人の道士さんが片膝をついているのを発見した。
慌てて駆け寄ると、道士さんは私を制して、すぐに避難しろと伝えてきた。
そんなこと言われても、放って置けないよー。
どうしようか迷っていると、傍らに落ちていた岩塊が、突然動き出したかと思ったら、人形になって襲いかかってきたのだった。
「ゴーレム…って言うんだっけ?」
矢をつがえながら、その大きさに息を飲む。
先の大木のモンスターも大きかったけど、迫力はこっちの方が、断然ある。
取り敢えず、覚えたばかりの技で足止めをして、距離をとった。
道士さんを巻き込んだら大変だし。
その時、ゴーレムのお腹がぱかっと開いたかと思ったら、ぶわわっと石飛礫が飛んできた!
慌てて避けるものの、何発か当たっちゃった…ちょっと痛い…(涙)
これは、近づき過ぎないように注意しなきゃ。
とはいえ、近くにインプもいたりするから、そっちも注意しないと、大変なことになっちゃう…。
幸い、ゴーレム自体の動きは遅いから、回り込みながら戦うことにした。
岩のところは、矢が通らなくてダメージになってなさそうだったけど、体の中心にあるコア? みたいなところは、結構効くみたい。
途中、ヒヤッとする場面もあったけど、少しずつダメージを与えていった。
その時、不意に、ゴーレムが動きを止めた。
やっつけた? と思ったんだけど、なんだか様子がおかしい。
なんだか力を溜めているような…?
猛烈に嫌な予感が、悪寒となって背筋を走った私は、その直感に従う様に、更にゴーレムから距離を取った。
その刹那、ゴーレムはズドーンと地響きを立てながら、自分の周囲を巻き込む攻撃を放ってきた!
あ、危なかった…距離取ってなかったら、確実に巻き込まれてた…。
もう! なんでこんなのがいるのよー!
森の怒り、強すぎだよー!
正直逃げ出したいところだけど、道士さん、まだ動けなさそうだし、頑張らないと…。
それから、どのぐらい戦っていたんだろう。
矢の残りがかなり少ない。
そろそろ、本気でピンチだなぁと思い始めた時、引き絞った一撃が、ゴーレムのコアを貫いた!
それと同時に、力なく崩れるゴーレム。
後には、最初と同じ様に、瓦礫が散らばるだけだった。
「はぁっはぁっ…っく…」
さすがに疲れた。息が苦しい。
でも。
「ぃやったぁー!!」
私は、今までで一番だと思う、力強いガッツポーズをとった。